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お遍路さん

 祖父母が何回も歩いていたので、昔から大人になったらいつかはと思っていました。で、徳島へ出張した際、土日を利用してちょこっと歩いてみたのがきっかけです。
 真夏でめちゃくちゃ暑かったけど、トレッキングとはまた違う、なんていうか良かったんだな、これが。(ぜんぜん説明になってない。)
 マメだらけで家に戻ったら、また続きを歩きたくなりました。そして、全部まわってみようと・・・。さらに一巡したあとも、辛かったことなど忘れて、今度は逆回り・・・

それから10年が過ぎて、いま三巡めを歩いてます。
 徳島にある第1番札所の霊山寺。
 
 お遍路さんの人数は年間約20〜30万人だそうで、そのうち1%が歩き遍路と言われています。
 統計の取りようもないですが、ここ最近は急増しているそうです。
 一周1400kmといわれています。
 約40日間と言われていますが、連休などを利用して少しずつあるいたので、四国往復の移動を含め、50日を要しました。 
 1日の歩く距離は約30kmでした。
 札所の多い日や、山道の多い日は、これより短くなります。
 慣れぬうちは、マメができたり、つぶれたり、筋肉痛で泣きそうになったりでした。足の甲が疲労骨折したかと思うほど痛んだこともありました。
 23番薬王寺から24番最御崎寺のある室戸岬までは約90キロ。左に荒波を見ながらの3日間でした。
 このあたりまで来ると足も慣れ、体も変化したような気がします。
 岬を越えても越えても果てしなく道は続き、そのうち頭の中が無になってしまいます。(笑)
 渡し舟で川を渡ることもあります。
 現在は高知の浦戸湾を渡る種崎−長浜間と、四万十川を渡る下田−初崎間の2箇所。
 浦戸湾の渡しは、県の道路(?)予算で建造された船だったので償還されるまでは有料でした。昭和52年から無料になったそうです。
 四万十川の渡しは、現在は中村市営で100円。
 川面の風に吹かれるのも一興です。
 実はアスファルトの上を歩くことが殆どなのですが、山道や里道のほか、砂浜を歩くこともあります。
 38番金剛福寺のある足摺岬。徳島から室戸岬、高知市を経て、約半分を歩いた勘定になります。
 ここまでは足摺岬を目標にして歩いてくるのですが、このあとは残る距離が少しずつ減っていくことが、名残惜しくなったりします。
 明るいうちに山を越えて里に出るように計画はたてるのですが、時間がかかって陽が暮れてしまうこともありました。
 そんなとき、遍路道保存協力会の立札がありがたかったです。
 遍路道は四季おりおりの表情をみせてくれます。
 酷暑の夏から始まり、色づいた秋、雪の舞う冬、桜の春。
 晴れわたった日、雨の日。

 朝起きて雨降りだと憂鬱なのですが、合羽を着て歩き始めると苦でなくなるから不思議です。
 札所でお参りを済ませ、納経帖に朱印をもらいます。
 掛け軸もリュックに入れて歩きました。
 墨が乾くまで一休みです。
 石鎚山の山頂は1974m。麓からわんちゃんが一緒に登ってくれました。古来より、お遍路さんの道案内をしてくれるわんちゃんが四国各地にいて、先達犬と呼ばれています。
 一緒にちょっと休憩の図。
 やはり春がいちばん気持ちのいい季節でした。
 次は秋。
 歩いていると暖かくなるので、冬も辛くなかったです。
 夏はできれば遠慮します。連日37℃のときは朦朧としました。知り合いで熱中症になった人もいます。
 88番、香川県の大窪寺。
 ここまでの間、地元の人の励ましや暖かい交流がいっぱい。歩き通すことができたのも、自分ひとりの力じゃないと感じました。
⇒ 詳しいお話 【おかちんの遍路】