区切り打ち その1 1番霊山寺から13番大日寺まで 12年8月23日〜26日 |
初日 | 12.08.23 |
はじまりは霊山寺 |
抜けるような青空の下、朝一番の全日空は徳島空港に着陸。空調の効いたビルを出たとたん、熱気に包まれた。時間を節約するため、タクシーで第1番霊山寺まで直行することにした。 すでに稲刈りの終わった撫養街道を走り、ほどなく門前に到着。隣の用具店で装束を調える。 ・持ってきたもの : 金剛杖、納経帖、白衣 (以上、前回のくるま遍路のもの) ・購入したもの : 菅笠、輪袈裟、鈴、掛軸、納札、山谷袋 掛軸は濡れないようにと用意してきた塩ビ製の図面筒に大事に仕舞った。 遍路を始める機会を頂けたお礼と、今日からの無事を大師堂でお願いして山門を後にした。(後日、歩き遍路は納経所で記帳することになっていると聞いたけど、知らずに出発しちゃった。) が、数百mも行かぬうちに自動販売機から冷たい飲み物の誘惑・・・。結局、今回は自動販売機があるたびに誘惑に負けることとなるのであった。 わずか15分ほどで白砂青松の庭が雰囲気の良い第2番極楽寺に到着。極楽寺からは県道に並行した旧道を進む。 |
はじめての土の道 |
途中で胸に虻が留まっていることに気がつき、つい反射的に払ったら一刺し!しばらくしたら、腫れと痛みが出てきた。不殺生守らなきゃ、かな。持ってきた防虫スプレーを使い、以降快適。 第3番金泉寺のお参りを済ませ、第4番大日寺へ向かう新しい県道は、炎天下に日陰も無く、暑さがピークを迎える。すれ違う歩き遍路さんと青息吐息でご挨拶・・・。 第5番地蔵寺の納経所で「暑いけど無事回れるように」と錦の札を頂いた。これ、今もお守り。 すっかり話し込み、気がつけば午後4時。しまった、次のお寺まで 5.3km。早足で出発する。 でも8月の午後4時はむちゃくちゃ暑い。自販機で休み、また急いで休む、を繰り返す。なんとか5時前に第6番安楽寺に到着。懐かしい山門をくぐる。無事、時間内にお参りと納経を済ませ、放心状態?で休んでいると「山門で通夜していいですよ」と声をかけられた。昨晩もどなたか通夜されたとのこと。所要のため今晩は徳島市内に戻る必要があったため、お気持ちだけ頂く。 遍路初日は想像どおり暑く、菅笠がなかったら日射病、熱中症になるかと思った。朝、東京を出て、今日はなんとか第6番まで。最初から変則的だけど、一度徳島市内に戻り、明後日からまた再開する予定。山門脇のとても綺麗なトイレで現世の服装に着替え、鍛冶屋原からバスに乗車した。 |
通算2日め | 12.08.25 |
1日おいて再びお遍路さんに復帰。今日も朝から良い天気・・・、天気予報では37℃。頑張ろ! 安楽寺から15分ほどで第7番十楽寺。赤白の山門をくぐり、まだ静かなお寺でお参りを済ます。 高速道路沿いの新しい県道を進むうちに、太陽が本領を発揮し始めてきた。 御所大橋をわたる川風が、つかの間の涼を恵んでくれる。 土成ICを過ぎ、木陰を見つけて休んでいたら、軽トラが急停止。「暑いやろ、これ飲んで」 凍った缶ジュースを接待してくれた。初めてのお接待。 優美な山門をくぐり、第8番熊谷寺。今日もスピーカーで御詠歌が流れていた。 納経のあと、御朱印を乾かそうとベンチに広げたら、直射日光であっという間に乾いた。 再び山門をくぐり、役場前を通って第9番法輪寺。寺前の「梅の家」で昼食にする。 冷たい麦茶がとても美味しかった。(うどんも) |
熊谷寺の山門 |
小豆大師先の自販機前で遍路さんに出会う。8回目の遍路で、今回は逆打ちで進まれるという。 途中で、托鉢がどんなものかご一緒させていただいた。福岡の I さん、頑張ってください。 門前から汗を滴らせて坂を上り、さらに三百三十の石段を登って第10番切幡寺。そういえば山のお寺は、ここが最初。お参りのあと、石段下のベンチで休息。靴の中の温度がすごい・・・。 時計を見ると2時半を回っていた。次のお寺まで約10キロ。時速5キロで歩けば5時までに着けると思ったけど、そろそろ足裏が痛い、暑い、喉が渇く、で速度がのらない。 途中で凍ったアクエリアス(そんなの売ってるんだ!)を買い求め、吉野川の沈下橋を渡る。 足はフラフラ、川風も強く、車はスピードを出す、欄干は無い、橋の上で杖はつけない・・・。風情はあるけど、ちょっと怖かった。 結局、第11番藤井寺に到着したのは5時半。お参りを終えると、住職さんが「閉めてしまったけど納経しましょう」と声をかけてくださった。「明朝また来ますので」と丁重に辞退したけど嬉しかった。 |
川島橋 |
通算3日め | 12.08.26 |
草いきれの山道 |
朝8時に再び藤井寺へ。「暑くてきついだろうけど頑張ってね」と、激励を受けて、本堂左側の遍路みちへ。遍路ころがし・・・、この季節に僕に歩けるだろうか。幸い、この木が生い茂り、陰が多い。道はきついけど、暑さは車道よりましなようで一安心。 吉野川を眼下に見おろし、山中に入って長戸庵。ベンチがあるとつい休んでしまう。連なる山塊を谷向こうに見ながら山道を登っていくと、峠の眼下に柳水庵。ご夫妻に菓子の接待を頂く。 急坂を下り車道を横断して、再度の急登。つづら折りの急坂を見上げ、「あの角まで登ったら立ち止まろうね」と自分にご褒美をちらつかせながら登る。ほんとに坂を折り返すごとに一息。 峠ではお大師様が迎えてくれていた。一本杉庵に到着。ヘルメット、作業服の方と一緒にお弁当を広げて昼食タイム。聞けば「四国の道」維持管理の仕事をされており、今日も自分の担当区間を点検されているとのこと。頭の下がる思いがした。 この山の近くの出身という彼は、お堂に深々と合掌したあと仕事に戻るべく歩いて行った。 また四国が好きになった。 |
まだ先は長い |
再び急坂を下って左右口の集落を抜け、再びの急登に挑む直前に川を渡った。 我慢できず水辺まで降り、頭から水をかぶる。少々復活。 第12番焼山寺には結局3時半ころに到着。7時間ほどかかった。しばし放心状態のあと、車道をショートカットながら遍路みちを下る。 杖杉庵を過ぎ、遍路道から川沿いの車道を進むと神山の町に出た。歩いているとわんちゃんに出会う。遊ぼうとすると遊ばない。でも一緒に歩く。ずーっと一緒に歩く。 町の人に「お遍路さんを案内してるんよ、宿までとか、場合によったら次のお寺までね」と言われた。偉いねぇ、嬉しい。 僕は神山温泉で泊まるので宿の玄関まで案内してもらった。バイバイしづらかった。 |
通算4日め | 12.08.27 |
4日めは朝から足の裏が痛い。寝ている間に治るようなまめではなかった。 今日は鮎喰川に沿って車道歩き。朝一番から呼び止められ、ジュースの接待を頂く。 今日は足が進まない。昨日の焼山寺越は覚悟を決めて臨んだせいか無事歩けたけど、その反動が翌日に出たような気がする。お腹も減ってきたけど店がない。広野でも食堂は閉まっていて食事のとれるようなところが見つからない。町を過ぎるあたりで焼鳥屋さんを見つけ、おにぎりをつくってもらった。やっと一息。 鮎喰川にそって迂回を繰り返す車道を進み、見覚えある第13番大日寺が見えたときには、安心感から膝の力が抜けそうになった。目前で休憩。心改めて手を洗い、口をゆすいで4日間の無事を感謝し第1回の区切りとした。 大師堂裏で遍路姿を解いて、門前からバスに乗り徳島駅経由空港へ向かい、空路東京に戻った。 後日談 :翌日は朝から普段どおり出勤。まめが痛くて会社の廊下を歩くのも容易じゃなかった。 不審がられたかな? |
鮎喰川 |
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