島原・天草の諸道 島原
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 3月20日。島原駅に近いホテル花みずきから歩いて武家屋敷通りに行きました。人の少ない時間に行きたかったので7時過ぎに出かけましたが、朝の散歩の人がちらほらいました。
 この界隈は島原城の西側にあたり、武士の屋敷跡です。島原は町のいたるとっころで水が湧き出ており、ここも道路の真ん中に水路が流れています。
 8時近くになったら一斉に沿道の方々が箒を手に掃除に出てこられました。素敵な町並みを自らの手で永年維持してきたんだなぁと感動。
 島原市は松平氏7万石の城下町。お城は松倉重政が元和4年から7年がかりで完成させたそうです。松倉氏には、ルソンを攻略するという意図があったらしく、その基地としての意味もあったそうです。でも、その築城がもたらした重課税が、このあと訪れる島原の乱の原因なったそうな。
 城と眉山が市街地を見おろしている感じがしました。司馬さんも【市街を追いおとすような勢いでそびえているこの休火山の山容は、大きすぎて気味わるいほどであった】と記しています。
 この山は寛政4年に大噴火して、山全体が真二つになるほど崩れ落ち、市街地を火と泥でうずめたことがあります。
 ホテルに戻ってチェックアウトし、車で島原駅の少し北にある「沖田古戦場」を探しました。少しわかりにくく、人に聞いて探しましたが、諌早側から車を走らせてみると歩道に看板が立っていました。
 「沖田古戦場跡」と書かれている看板を入ったところにある運送屋さんの敷地内に碑がありました。
 沖田合戦とは、島原の乱よりもずっと以前に、島原有馬氏が薩摩島津氏の応援を受け、肥前龍造寺氏と争った戦です。当時は湿地帯でしたが、現在は埋め立てが進んでいます。
 国道251号を南下すると雲仙普賢岳が右側に見えてきました。19900の大噴火のニュース映像が蘇ります。水無川を渡り、深江にある道の駅みずなし本陣に立ち寄りました。
 38回の土石流と7回の大火砕流により埋まってしまった災害現場の家屋がそのまま保存展示されています。自然のすさまじさを実感できました。
 ふたたび国道251号を南下します。有家の集落を過ぎたところに「史跡 セミナリヨ跡」の標柱がありました。イエズス会の神父がキリスト教の教育施設として、セミナリヨ(中、高等学校)、コレジヨ(大学)、印刷所、美術学校などを総合的に設置することを計画し、有馬と安土にセミナリヨを開いたそうです。
 この写真のシャッターを切った10時53分、福岡西方沖地震(M7)が発生し地面が大きく揺れました。
 普賢岳の記録を見たばかりだったので、怖かったよぉ(:_;)
 南有馬町まで走ると、遠くに原城が見てきました。島原の乱の舞台になったところです。
 松倉氏はこの原城を廃して、島原に島原城を築きましたが、このための年貢と夫役があまりにも過酷だったため、のちに天草四郎時貞を旗印とする一揆軍が決起し、廃城になっていた原城で籠城しました。
 松倉重政は切支丹弾圧を行ったことで有名です。棄教を拒む信者を雲仙の火口に投げ込んだりもしたそうです。また、凶作が数年つづき、島原や天草で餓死する者が多くなりましたが、年貢を納められない者の家族を拷問や殺害したそうです。
 天草四郎時貞の墓碑が原城にありました。
 島原の乱の旗印になったとき、天草四郎は16歳だったそうです。この少年がなぜ農民たちにとって救世主として扱われるようになったかについては諸説あって面白いです。
 乱は幕府軍の総攻撃により鎮圧され、生き残った者もことごとくを殺されたそうです。
 本丸から海を臨むと天草半島が見えます。その海の少し沖に浅瀬があり、白州と呼ばれています。
 「リソサムニューム」という植物の死骸が堆積したもので、毎年旧暦3月と8月の最干潮時に姿を現すそうです。珊瑚に似ていますが、珊瑚は動物なのでまったく別物ってこと。
 国道を進み口之津まで来ました。このあとフェリーで天草へ向かう予定なので、時間を確認してから加津佐へむかいました。
 加津佐には、切支丹時代の一時期にコレジョが置かれていました。コレジョというのは日本に一校しかなかったイエズス会の大学みたいなもんだそうです。大分や山口、肥前など移動し、加津佐にも一時期置かれていました。
 商店街から山に向かう道を登ると、市街を見下ろす高台にありました。
 口之津は長崎にならぶ港として栄えていましたが、明治42年に近代的な三池港が完成し、静かな町に戻ったそうです。
 13時15分に鬼池行き島鉄フェリーが出るので乗船待ちの列に並びましたが、数台前でいっぱいになってしまいました。残念。
 次の14時の便を待つあいだ、駅前の喫茶店でカレーを食べて時間をつぶしました。
 船は30分ほどで天草半島の鬼池に入港。この「鬼池」は「鬼の池の久助どんの連れん来らるばい」に出てくる鬼池です。
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