go to top 区切り打ち その9-1

59番国分寺から番外延命寺まで


13年4月28日〜5月1日

通算38日め 13.04.28

世田薬師
 前回3日間歩いて、5日間東京で仕事して、また今日から8日間歩く機会を作れた。7時に羽田を発ち、JRとバスを乗り継いで10時半に国分寺前で下車。またトイレで白装束に着替えていると、五九楽館のお兄さんが駐車場を掃き清めておられた。

 国分寺から旧道を進み、国道196号を歩く。道の駅を過ぎ、今治東予市境の蛇越池でたこ焼きを発見。買い求めて池畔で昼食とする。気持ちのいいお天気だ。対岸ではのんびりと釣りをしているのが見える。
 国道から右の道へ入り、山肌に咲く藤を見ながら歩いていくと栴檀寺世田薬師に到着。本堂でお参りしていると饅頭とうどんを接待していただいた。

 畑の中を進み、目安橋を渡って街中の道を進む。目立たない入口に遍路標識を見つけて日切大師堂へ。お参りしようとするとお堂の中で女の人が横になっていた。お参りが終わっても微動だにせず。具合でも・・・と声を掛けると「あー、よく寝た」 ありゃりゃ。

 兵庫から来たという遍路さんと付かず離れずで街の中を進む。広い県道に出たところで地図を確認。兵庫の方は丹原町へ向かうというので、お互いの無事を祈って別れる。僕は正面に見える山の裾を目指して徳能、徳田と進む。

興隆寺
 徳田小学校前から緩い坂を上っていくと興隆寺の入口に着く。山に向かって坂を上っていくと降りてくる遍路さんとすれ違った。話を聞くとまだまだ距離があるそうだ。少し息を切らして上る。思っていた以上に山中のお寺のようだ。途中、遍路道を通りながら駐車場を越え、赤い橋を渡ると山門が見えた。石段をどんどん登る。戦国の城を彷彿とさせる野面積みの石垣の上に本堂と大師堂があった。立派なお寺。
 納経を終え休憩していると17時。今日はゆっくりペースだったので予定していた生木地蔵までは進めなかった。まぁ、正式には朝またお参りすることにして生木地蔵まで歩みだけ進めることにした。

 下りの参道からは正面に石鎚の山々が見える。農作業している方から「あそこが成就社、あれが石鎚山、あれが瓶ケ森」と教えを乞う。峰の連なりを眼に焼き付けておこうっと。
 結局、生木地蔵には18時に到着。夕刻の境内で静かにお参りをする。でも時間外は不審だったのか2匹いるわんちゃんに吼えまくられてしまった。ごめんね。

 今日は遍路コースから離れた壬生川駅近くに宿を予約したので、邪道ながら丹原上町から18時53分のバスでエスケープすることにした。(バスは宿泊がホテルユニバースと言うと、停留所にこだわらず、一番近い角で降ろしてくれた。) 31252歩。
 天気予報によると明日、明後日と雨100%だという。明日の石鎚は順延し、先に平地を進もうと思う。 

通算39日め 13.04.29
 ホテルユニバースはスパ完備で、しかも大きなスーパーが国道の反対側にあり便利快適だった。

 さて、すでに泣き出しそうな空模様。石鎚山を諦め、平地の札所を先に歩くことにする。
 7時50分のバスで小松町役場前まで移動、270円。まずは第61番香園寺を目指す。昨晩スーパーで仕入れた調理パンをお寺の駐車場で食す。市民会館のような建物の2階に上がり、ホールのような客席に座ってご本尊大日如来を拝する。札所のありかたも、人によっていろいろあるもんだなぁ。門前でお抹茶とお菓子のお接待をいただく。

 歩き出すと予報どおり雨が落ちてきた。合羽を着込んで第62番宝寿寺へ。正面に見える本堂は閉鎖されていて、横に新しい本堂と大師堂が並んでいた。
 国道を歩いて第63番吉祥寺。お参りしようとすると見覚えのあるお顔。3月に八坂寺でお会いした神戸の方だった。奇遇を喜び、また、その時撮って頂いた写真を頂戴した。車で回られており、あと数日で結願の予定だとか。 山門に象の狛犬(?)が妙に印象的な吉祥寺をあとに、国道山側の旧道を進む。 

 旧道を小1時間進むと石鎚神社本社の大きな鳥居。明日、成就社まで登るということで、今日は頭を下げて過ぎる。隣の第63番前神寺へ。神仏分離令以前は隣の石鎚神社境内にあったとのこと。今、前神寺境内の階段を上がると本堂を見下ろす場所に石鎚の社があったり、なんか複雑・・・。

あっち
 雨の日は掛軸の墨を乾かすにも場所と時間が必要。休憩がてら軒下で時間を費やす。
 12時になったところで腰をあげ、旧道を一路東へ向かう。途中で渡った加茂川の橋は欄干が鉄琴になっていて、渡る最初に棒を箱から借りて叩いて進み、渡り終えてまた箱に返すようになっていた。途中で気が付いたけど戻るのは嫌で、でも叩いてみたい。金剛杖で叩いちゃまずいし、と思って指で叩いていたら痛かった。そんなことに気を紛らわしながら雨の中を進む。どうしても単調になりがち。新居浜市に入る手前のラーメン店で昼食。ラーメンと餃子で750円。

 再び旧街道を進み、廃線跡を越えると喜光寺商店街。アーケードを歩いていると「お大師が一緒に歩いてくれてるから頑張んなさいよ」とおじいさんに励まされる。見えなくなるまで大声で南無大師遍照金剛って唱えてくれていた。元気を取り戻し歩き始める。国道に合流すると市境まで長い長い上り坂。今日の行程で峠越えがあるとは計画外だった。

 17時に坂を登り終え土居町へ入る。緩い坂を下り、JRの踏切を2回渡ると延命寺。もう遅いのでお参りは後日とし、頭だけ下げて19時15分土居駅着。1日かけて歩いた道のりを1時間の乗車で戻る。今日はやっぱり1日雨だった。52386歩。


新居浜
通算40日め 13.04.30

湯浪から
 一昨日のルートに復帰すべく、7時20分のバスで生木地蔵まで戻る。わんちゃんには今朝もやっぱり吼えられた。怪しいのかなぁ。
 お参りを終えると、長く続きそうな雨が降ってきた。納経所で合羽を着込んで歩き出す。石鎚橋を渡ると道に勾配がつき始め、暑くなってきた。国道を越えた先の妙雲寺でTシャツ+合羽になる。民家が途切れてくると、道は谷川に沿って蛇行するようになる。ところどころ山の斜面に藤が綺麗だ。徐々に高度を上げ、深山の雰囲気になってくる。交通量は極端に少ない。

 湯浪を過ぎ、10時半に登り口の休憩所に到着。名高い遍路転がしを前に息を整える。すでに大分登ってきたようだ。意を決し、木立の中を登り始める。最初はせせらぎに沿った山道、茂った木々が雨を防いでくれて、思ったよりも登りやすい。

 やがて谷奥まで行き着くと階段状の登りになり、徐々に勾配も厳しくなってくる。丁石のカウントダウンで自分に元気づけたり、石仏の表情を確かめたりしながら杖を頼りに足をあげていくと山門が見えた。12時に第60番横峰寺到着。納経所脇の自販機で喉を潤し、息を整える。境内は雨に煙っていたけれど、本堂脇のアケボノツツジが満開だった。晴れていたら綺麗だろうな。でも汗が引いたら寒かった。納経所で石鎚に登ることを告げると、今宮道を勧められ、饅頭とバナナを頂いた。12時45分出発。

こわ!
 山門をくぐり石鎚山遥拝の地、星ノ森へ。鉄の鳥居の奥は、雨に煙ってかすかな輪郭を示すのみ。石造りの大師像に手を合わせ、虎杖へと下るモエ坂を意を決して下り始める。
 急坂すぎる。普通なら階段となるべきほどの急勾配。しかも雨に濡れたコンクリートときては、次の1歩が容易に踏み出せない。座布団でもあったら滑って降りるのに。(まじで怖かった)

 3.5キロの下り坂に2時間を要し河口に到着。足も気も疲れ、自販機休憩しようとした。しかし、2軒ある旅館は人の気配も自販機も無い。諦めて県道交差点横の石段を登り、今宮道に入る。

 古い鳥居をくぐると、今まで徳島から歩いてきた遍路道とはまったく異なる威圧感に包まれた。(雨と夕方のせいか?)今日登るのは僕が何人目?もしかして何日も人が歩いてないのでは? 遍路シールは当然無く、人の気配など微塵も無い。足元では無数の沢蟹が鋏で威嚇してる。うわー、異様な圧力。

 登り始めて2時間弱、16時半に道標を見つけ、距離を確認するが、まだ中間点。祠や石塁の点在する深山での夕闇は絶対避けたい。あせる。あせるけど急登。いつ果てぬとも知れぬ急登。超真剣に登る。闇に包まれる前になんとか奥前神寺に到着。正直助かったと思った。もう安心といった感じの参道を進むうちに暗くなった。少し遅かったら進退窮したなぁ。成就社前の白石旅館に18時45分着。疲れた。精神的にも疲れた。おまけにびちょびちょ。でも充足感あり。明日は頂上だ。34958歩。

通算41日め 13.05.01
 朝7時、石鎚神社成就社に参拝し、山門と鳥居をくぐって頂上を目指す。重い荷は旅館に預かってもらった。雨具、弁当、杖だけなので身軽。最初に少し下ってから八丁坂を登る。

 馬の背を進み、いくつもの小さな岩峰を越える。足場に窮するような岩峰には、板で迂回路が用意されていた。雨は降っていないが、足元の両側から雲が湧き出している。雲海を眺めながら進む。途中、土小屋からの登山道と合流。芸予地震で崩れたスカイラインが、GW前になんとか通行可能になったとのこと。何人かのハイカーと一緒に登る。
 直登の岩場に鎖場。めちゃ太い鎖だ。(輪に靴先がすっぽり) でも杖持ってるし、みんなも迂回するしで迂回路を登る。迂回路といっても、まだ雪渓はあるし、傾斜した足場板を歩くしで楽ちんではなかった。

 9時半、弥山の頂きに立つ。奥之宮頂上社で手を合わす。残念ながら期待していた展望は霧に埋もれ、天狗岳の雄姿が現れることはなかった。周りの登山客と一緒に、一瞬の霧の切れ目を期待して粘る。しかし11時になったところで今日の行程を考え腰を上げた。眺望は次回に期待。 

 登ってきた登山道を成就社へと下る。淡い桜色のアケボノツツジが見事だ。山頂での眺望は無かったけれど、それを補うに値する彩り。この花を見れただけでも登りの苦労に値するなぁ。

石鎚頂上社
 成就社に12時半帰還。白石旅館の山菜うどん700円、コーヒー350円で暖をとる。成就社にゆっくり参拝。ご祈祷を始められたとのことで、約30分待ってご朱印をいただく。札所と違って係りの人が書いたりしないんだ。

 結局14時に今宮道を下り始める。だいぶ予定より遅くなった。モエ坂と違い、土の坂なので早足で下る。いくつもの祠、王子社を過ぎ、終り無きかのように感じ始めた頃、見覚えのある鳥居が見えた。河口に着く。旅館はまたも無人の気配。16時に虎杖からモエ坂を登る。下れないほどの急坂だっただけに厳しい急登が続く。星ノ森17時半。鉄の鳥居から薄く見える石鎚に合掌。

 横峰寺の自販機は夕方になり電源が落とされていた。喉の渇きが辛い・・・。ともかく無事に石鎚往復出来たことを感謝しお参り。駐車場へ続く参道の途中から遍路道を下る。遍路標識のなんと有難いことか、心強く感じながら下り続ける。

 陽が落ちた。舗装路に合流し、61番奥の院まで降りた時には漆黒の闇に包まれていた。要所々々で懐中電灯を点す。香園寺まで辿り着いた時には20時になっていた。駐車場で少し休み、伊予小松駅まで歩く。ここからは一昨日進んだ土居町まで鉄路で移動。松屋旅館さんに着いた時は22時になっていた。遅くなっても暖かく迎えてくれて、有難うございました。47053歩。

アケボノツツジ
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