区切り打ち その9-2 番外延命寺から78番郷照寺まで 13年5月2日〜5月5日 |
通算42日め | 13.05.02 |
こちら |
朝から優しくない雨。7時45分、リュックを松屋旅館の玄関に置かせてもらい、納経用具だけ持って延命寺へ。道をはさんだ「いざり松」で、4月に青木地蔵で出会った遍路さんに再会。あの時も雨だったっけ・・・。しばらくお話して延命寺を後にする。 旅館でリュックを背負い、街中を歩き始める。ずーっと雨の中歩く。土居の街が終わる頃、国道を渡り、再度旧道を進む。 雨の中、たんたんと歩いただけなので、今思い出そうとしても記憶が少ない。 唯一はっきり覚えているのは寒川郵便局横。隣家の軒下で所持金を確認し、お金を引き出そうかどうか思案しつつ休憩していると、幾度か「傘使ってください」と声をかけられた。菅笠で大丈夫だと思ったので有難く辞退したけど、見知らぬ遍路に対する心遣いが暖かかった。 道標に従って右に折れる。やがて高速道路をくぐって山裾を進もうとすると今まで密にあった遍路シールが途切れてしまった。目標となる発電所はあるものの、進むべき道がわからない。うろうろ試行錯誤。どうにか段々畑を直登し、車道を短絡する遍路道を見つけ、中腹の車道に合流する。 雨に煙る瀬戸内海と川之江方面の工場群を見下ろしながら、交通量の少ない道を進む。以前、車で回った時の印象と異なり、第65番三角寺は山のお寺。朝からずーっと雨の中を歩き、石段を登って、山門に吊るされている鐘を撞いたのは14時。止むことの無い雨から逃れ、四阿で遅い昼食を取っていると、東京のFさんSさんに出会った。同じように三島から上がってくる道に迷ったそうだ。お二人は数年前から都合を付け合い、区切りで進まれているとの事。掛けあいが楽しそうで、ちょっと羨ましい。 |
三角寺 |
15時に石段を降り始める。今日、泊めてもらう民宿岡田さんに電話すると「三角寺からはまだ大分遠い」と忠告され、ちょっと急ぎ足。別格仙龍寺への分かれ道を過ぎ、ゴルフ場脇を通り、高度を下げていく。途中、建設会社前に「休んでいってください」と看板のついた四阿があった。見ただけで心が休まったけど、先を急ぐので一礼して過ぎる。 高速道路を過ぎると眼下に「椿堂」。納経を終え、いつの日か別格さん回りをしたいと言っている母のことなどを話すと、母にと数珠袋を接待してくださった。納経料も接待。時間がゆるせば、もっとゆっくりお話したかったけど17時近くなったので荷を背負う。 国道に合流し、長く緩い坂を登り始める。雨は音を立てるように強くなった。大型車の飛沫を全身に浴びながら歩道を進む。大粒の雨に合羽も威力を失いつつあるようだ。トンネル手前の自販機で休憩すると急速に身体が冷えてくる。思わず熱い缶しるこ・・・。 県境の境目トンネル855mを抜け、18時15分、涅槃の道場が終了。阿波、土佐、伊予の道程を想いだしながら坂を下り、18時45分、民宿岡田到着。既に辺りは暗く、心配したご主人が道に出て待っていてくれた。今日は身も荷も濡れネズミ。掛軸が濡れずに済んだだけでも幸い、他はびちょびちょ。雨のせいか万歩計ゼロ |
通算43日め | 13.05.03 |
昨日の雨は記録的なもので、四国各地で道路通行止め、列車運休が相次いだらしい。 幸い、7時に宿を出る時には雨は上がっていた。ご主人が見えなくなるまで見送ってくれた。 高速道路の高架橋下から山道を登る。車の疾走する徳島自動車道が違う世界のように感じられた。当面の目標となる送電線を目指し急坂を登る。約1時間で稜線を走る車道に出た。雲海に浮かぶ山塊を右手に眺めながら車道を進み、9時に第66番雲辺寺到着。 境内には霧が立ち込めていて、文字通り雲の辺りといった風情だ。もっとも「四国霊場最高峰」と誇らしげな案内看板があったが、石鎚登攀のあとだったので、あまり実感はなかった。歩き遍路にとっては高い寺より遠い寺のほうが苦しいし・・・。石鎚を除けば最御崎寺、金剛福寺、焼山寺、横峰寺そして雲辺寺の順かなぁ。 僕は雨男の気があるらしく、高所のお寺はいつも視界に恵まれない。太龍寺、石鎚山、今日の雲辺寺、「晴れていれば遠く瀬戸内や中国山地が云々」の説明がちょっと恨めしい。 10時に山を下り始める。急坂、土道で滑りやすい。足に妙な負担がかかって下りづらい。途中のベンチにて民宿岡田で頂いたおにぎりを頬張り休憩。 |
雲辺寺へ |
山を降りると、久々のお陽様が戻ってきた。Tシャツになって歩く。数日間の雨で湿った服や荷がみるみる乾燥していくような勢いの日差し。 わんちゃんがついて来た。ちょっと一緒に遊んだのがいけなかったか、ずっとついてくる。振り返ると、遠くで我が愛犬を呼んでいる人が見えた。うーん、困ったなぁ。わんちゃんをご自宅へ帰すべくUターン。こんな後戻りは初めてだけど仕方が無い。 岩鍋池を過ぎ、小さな峠を越えて13時半、第67番大興寺着。1つ残しておいたおにぎりでランチタイムとする。仁王門の門前でアイスクリンを買い求め、観音寺市街を目指す。でも、歩き始めてすぐにわんちゃんとじゃれあい、時間を費やす。なかなか進まない。 国道から右に曲がり、1本道を進む。古い面影を残す市街地を抜けると三架橋。印象に残るトラス橋を渡って第68番神恵院&第69番観音寺に16時半到着。68、69と律儀に順番にお参りし納経所へ。納経帖と掛軸(300+500)×2ケ寺分=1600円也。 時間が許せば有名な銭形を観光したかったけど、夕方だったので今回はパス。財田川に沿って本山の街を目指す。遠くには雲辺寺山が見える。あそこから降りてきたんだなぁ、と実感。 自堕落に歩き、約1時間半で本大ビジネスホテル。どうみてもマンション、管理人室で鍵を受け取り1DKの部屋に荷を降ろす。友人の部屋に泊まるような気分だけど落ち着く。 |
おにぎり |
通算44日め | 13.05.04 |
本山寺 |
二度寝してしまい、8時半出発。財田川を渡り第70番本山寺に参拝。前回の車遍路のときに知った井筒屋さんに立ち寄る。焼餅をご馳走になり、お菓子もどっさり頂いてしまった。皆さんお元気そうでなにより・・・。 つい長時間お邪魔してしまい、11時に本山の街を出発。国道11号を東へ進み、高瀬の先から旧道に入ると正面に弥谷山が見えた。石仏の並ぶ遍路道を登り、第71番弥谷寺に13時半到着。参拝の人で賑わっている。540段と聞いた石段の写真を撮ろうと人波の途切れるのを待つ。傍目には疲れて呆然としているように見えたか、励ましの声を何度もかけられた。そういえば車遍路の時には、大変な段数に思えたっけ・・・。大師堂前の広場でFさんSさんに再会。お二人は弥谷寺を区切りとし帰京されるという。アドレスの交換をして再会を約す。お互い無事結願できますように。 俳句茶屋の甘酒ときつねうどんを昼食とし、駐車場へ至る道と別れ、遍路道へ進む。屏風ヶ浦への道は工事通行止めとのことで曼荼羅寺を目指す。 竹薮の中を進む遍路道は枯葉が深く積もり、ふかふかして気持ちがいい。ふんわかふんわかの道を快調にゆるやかに下る。 |
弥谷寺から |
高松自動車道をくぐると、眼下に讃岐平野と特徴ある三角形の山の点在が広がった。我拝師山の山裾や、やめ池のほとりを進み、弥谷寺から45分で第72番曼荼羅寺の山門をくぐる。 裏門から出ると次の札所まではごくわずか。車遍路の人も曼荼羅寺に車を駐いたまま、そぞろあるきで緩い坂を登っている。第73番出釈迦寺、スピーカーから寺の縁起が流されていた。 納経所脇から捨身ケ嶽禅定へ細い道が伸びていた。少し迷ったが、すでに16時15分になっていたので今回はパス。次の札所の納経締切時間を考え、少し急ぎ足で住宅街を進む。 途中からバス通りを離れ、田の道を進んで第74番甲山寺に到着。時計を見ると16時45分、お参りを済ませ、納経所の引き戸を開けたのは17時ちょうどだった。同様にぎりぎり到着した歩き遍路さんと「お互い間に合ってよかったですねぇ」 とりあえず、今日の予定を終えたので少し気が抜けた。だらだらと善通寺の街を目指す。30分ほどで第75番善通寺に到着。本堂の扉はもう閉ざされていたけど、広大な境内は観光客でまだ賑わっていた。ちゃんとしたお参りは明朝するとして、ひととおり参拝を終える。 今晩は素泊まりのため食堂を探しながら街を進むが、少し観光地っぽい通りには白装束で入れるような店が見当たらない。空腹のまま善通寺グランドホテルにチェックインする。(残念ながらホテルにも周辺にもレストランは無く、ホテル1階の居酒屋で夕食) 今日は25169歩。 |
通算45日め | 13.05.05 |
GWを利用した今回の区切り打ちも今日が最終日。時間的に許すところまで進むこととし、まず善通寺に参拝。ちょうど五重塔特別拝観だったので二層目まで上がることができた。 善通寺を後に街中を歩き始める。少し国道を歩き、折れて里道を進む。高速をくぐり、民家が立ち込んでくると正面に仁王門が見える。広々とした境内の第76番金倉寺を参拝。 引き続き国道の1本裏の道を進む。広い通りを渡ったところで遍路道を見失うが、目見当をつけて進む。が、やがて道は突き当たり右か左の選択となった。周囲を見回し、適当に右に進んでいくと側溝の手入れをされている方がいたので道をお聞きした。なんでも遍路道が通る敷地の所有者が替わったとこで迂回をよぎなくされているとのこと。で、左回りに迂回して無事目標の八幡神社を過ぎる。ここからはしばらく1本道。丁石やお地蔵さんを見ながら田の中を進む。 右に折れると第77番道隆寺。山門の前に遍路用具の店を見つけたので、菅笠のビニールカバーを求める。だいぶ擦れたりして破れかけていたのだが、なかなかカバーだけ売っている所が見つからなかったので助かった。(37番岩本寺の宿坊で見かけて以来だった。でも注意不足かも) 店内はそれこそ遍路のための用品でいっぱい。お茶を飲んで休めるようにカウンターもあり、コーヒーを飲ませていただいた。ごちそうさま。(^_^) |
五重塔から |
「め、め、め・・・」眼病平癒の願いで四方の壁が埋まっていた。納経所では歩きと知れるとヤクルトとお菓子を接待してくださった。ベンチで早速休憩。ちょっと不審だったのか、2匹のわんちゃんに最初吠えられたけど、結局は仲良しに。しばらく遊んだのち、道隆寺を後にする。 予讃線に沿って県道を進み、久々にファーストフードを見つけ昼食。須崎以来のモスバーガー。 丸亀城を横目に見て歩き(大都会に感じられた)、長い蓬莱橋を渡って宇多津の街に入る。折れるべき小道を間違い塩釜神社を通り抜ける。坂を上り、街を見下ろす第78番郷照寺に到着。 時間的に、次の天皇寺まで進むのは無理そうなので、今回はここで区切りとする。少し念入りにお参りを済ませ、今回の区切り打ちをゆっくり振り返ろう。そう思ったが残念、郷照寺にはベンチはおろか、足を休める場は見当たらなかった。納経後は早々にリュックを背負わざるを得ず。 高架の宇多津駅まで戻り、駅前広場で白装束を解く。17時発の快速高松行きを待つ間、石鎚、雲辺寺をはじめとする今回の遍路行を、缶コーヒー飲みながら振り返る。やっぱり雨の石鎚は精神的にも体力的にもきつかったぁ。郷照寺までで25261歩。 高松からバスと飛行機を乗り継ぎ、帰宅の途についた。もちろん機中では次回の計画を思案! |
道隆寺あちら |
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