go to top 区切り打ち その3

23番薬王寺から26番金剛頂寺まで

12年11月23日〜26日

通算9日め 12.11.23
ありがたい  今回も早朝に東京を出発。徳島から、特急「剣山」に乗り込み日和佐の街へ。早速、駅舎脇の公衆トイレを拝借して遍路姿に復帰。まずは薬王寺へと向かう。思った以上に暖かく、フリースを脱いで長袖のシャツ姿で室戸までの長丁場を歩き出す。

 日和佐トンネル、山河内トンネルと続く、そのトンネル入り口に「お遍路の皆様へ」の立て看板。何かと思ったら、交通安全のため反射たすきのお接待(?)。
 スピードを出してすれ違う自動車(無灯火が多い)に対し、自衛策として懐中電灯を点けて歩いていたが、さらに効果的になるよう、有り難くひとつ頂いた。

 しばらく歩いていると、急に体の右半分が、なんとも言えぬ悪寒に襲われた。ふと見ると道路右側に古いお墓。反射的に般若心経と御真言を唱えながら歩く。よくわからないけど、もしかして不思議な体験?後で宮崎さんの地図見たら似たようなことが書かれていたけど、この辺のことかな。

 たこ焼き屋さんを見つけお昼りにし、小松大師に寄って牟岐に16時着。杉本民宿にお世話になる。今日の歩行は16,474歩。(エアコンは1時間100円、寒かったので使った。)

通算10日め 12.11.24
 登校途中の小学生に紛れて牟岐の町を出発。国道55号に出て歩道を歩き始める。
 内妻浜、八坂八浜と左手に海を見て歩いているうちに鯖大師入り口に到着。鯖瀬駅をくぐり、田園の中の鯖大師にお参りを済ます。

 伊勢田川に架かる橋で旧道へ。浅川の港町に入ると「南海大地震津波乃碑」が目立つ。
 丘越えの旧道はやがて両側に住宅が多くなり、海南町の中心部へ。海部川手前のホームセンター店前に自販機とベンチを見つけて休憩。正午のサイレンが鳴った。

 橋を渡り、海部の商店街を抜けて国道へ復帰。食事処を探しながら再び歩道歩き。陸続きの島(変な表現だけど)に沿って那佐を過ぎ、ラーメン豚太郎を発見。白装束に少し恐縮しながら扉をくぐり、今日の昼食はラーメンと唐揚げセット。
 満腹のおももちで歩を進め宍喰市街へ。宍喰川を渡り、無人の古目大師に参拝し、また国道へ。ここのところ国道では情報ボックスを埋める工事があちこちで行われていて片側通行が多い。 

那佐
 水床トンネルを抜けると高知県。行政上も阿波一国を過ぎた。遍路初めての県境越え、思わず家に電話してしまった。

 甲浦港を甲浦大橋で一跨ぎ、白浜の整備された公園で休憩をとる。続く生見の浜はサーファーで賑わっていて、民宿の庭先にはそれとわかるワンボックスが目立つ。
この辺で泊まることも以前考えたけど、遍路が同宿してたら違和感あったかも・・・。
 
夕暮れになり東洋大師明徳寺に到着。「宿が決まってなかったら通夜堂を」と言っていただき、さらに困ったときにと清めの荒塩を頂いた。
 しばらくお寺のわんちゃんと遊んでから予約してあるまるたや旅館へ。
 途中、「乗っていきませんか」と声をかけていただいたりしながら宿に到着。中庭のある特徴的な間取りは土地柄なんでしょうか、知ってる人いたら教えて下さい。
 下着の洗濯をはじめ、とても親切にしていただき、今日も熟睡。本日は40917歩でした。


東洋大師
通算11日め 12.11.25

ゴロゴロ
 昇る朝陽を拝めるのは室戸まで。というわけで、野根の海岸で朝陽を拝んでから再び東洋大師に参拝。リュウは朝の散歩かな、いなかった。

 野根川の旧橋を渡り伏越の鼻で国道55号に出る。左手には水平線まで広がる海、前方は幾重にも重なる岬の影。一番遠くに見えるのが今日目指す室戸岬だろうか、違うな。もっともっとずーっと先のはず。とりあえず今見えている鼻を目標にして歩こう、文字通り黙々と歩く。
 しばらくすると「東洋町ゴロゴロ」と書かれた国道の路線標識、地名に惹かれて防波堤の切れ目から海岸に降りてみる。やっぱりごろごろ石だ。

釈】我が家にお腹が痛かったり、足が痛かったりしたときに、これででさすると治るといわれている「ごろごろ石」と呼ばれる小石があった。昨日、白浜の公園にあった東洋町の観光案内所に大師伝説にまつわる「ごろごろ石」の話として同じ内容が記載されているのを読んで、祖父母が昭和初期に数回遍路した時に野根から大事に持って帰ってきたものと確信した。

ゴロゴロ石
 大きな石では歩くのに支障をきたすし、吟味の上、手頃な小石を握りしめ再び車道へ。

 歩いていると地の底から「ゴロゴロー」という地鳴りのような音がする。押す波、返す波ごとに海岸の石ひとつひとつがごろごろと転がり、無限の石音が迫る山塊に反射して地鳴りのような音を響かせていた。東洋町ゴロゴロ、そのまんま。
 まるたやのおばあちゃんが「立派な道路が出来てから年々大きなごろごろ石は無くなった。うちも漬け物石に使っているが、頭くらいの石はめっきり減ったねぇ」と言っていた。この立派な道路が出来る前の室戸への道を思うと先人に頭が下がる思い・・・。

 法海上人堂、佛海庵にお参りしたあと、今日初めての自販機を入木のGSで発見し休憩。
 佐喜浜では、食堂が見つからないまま集落を抜けてしまい、再び国道歩き。でも佐喜浜から先は人の匂いが感じられる。夫婦岩を過ぎ、椎名で喫茶店を見つけ遅い昼食とする。

 漁港をいくつも越え、右手の山上に風力発電が見えてきた。石垣のある家が多くなる。
 やがて陽が右手の山に沈み、17時30分に日の出を見るため予約したホテルにチェックイン。
 本日43811歩。

通算12日め 12.11.26
 筆で一本線を書いたような雲が水平線上にあったので、だるま日の出は見えなかったけど、ご来光を拝し、まずまず満足して出発。
 宿前の青年大師像と御蔵洞へ。洞の中から空と海、岩礁と白い波が額に納まった絵のように見え、薬王寺からの長い道のりを無事越えてこられた実感が胸にこみ上げてきた。きつかった・・・。

 アコウなどの南国らしい茂みの中を登る。第24番最御崎寺、何日か振りの観光客の賑わいがなんだか懐かしい。縦に長い境内でぼーっとしてからスカイラインと呼ばれる車道を下る。つづら折りで下る道からは、太平洋と行当岬が広がり、土佐に入ったという実感が感じられた。

 しばらくして右足に痛みを感じ始めた。誤魔化して歩いていたが、津呂を過ぎたあたりで甲がピキッ! 痛くて体重をのせられなくなった。リュックを降ろしメンタムを塗る。金剛杖に頼り一歩一歩歩む。痛みのため立ち止まる間隔が徐々に短くなり、いよいよ津呂の港でガードレールにすがりつく。しばらく息を整えてから第25番津照寺へ。

御藏洞
 本堂への長い石段では、不思議にも痛みは感じなかった。それでもかばうように手摺りと金剛杖を頼りに上り下り。なるべく足の甲に力が懸からないように歩く。
 途中、紀貫之の碑などを見ながら国道に出る。道路沿いの樹木も南国っぽく、また交通量も多くて室戸岬を廻ってからは活気がある。

 元橋を渡り、遍路道へと入る。何度か折り返して登っていくと再び眼下に太平洋、そして今歩いてきた室戸からの道が見えてくる。そのうちポンッと駐車場に出た。

 第26番金剛頂寺、今回の区切り寺だ。日和佐から3泊4日。東寺、津照寺、そして西寺と室戸三寺を打ち終え、ちょっと感慨深げ・・・。ちょうどヤッコ草の開花時期らしく、今日は忙しかったと話す納経所の方としばらく雑談したのち、遍路道を下る。里が近くなると柿がいっぱい実を付けていた。
 海岸線の国道に出ると目の前に道の駅。トイレを借用し遍路姿を解く。正面の太平洋に夕日が沈みかけていて、室戸岬をまわりきったことを実感。

 時刻表どおり16時48分に高知東部交通のバスに乗車。次回歩く予定の道を車窓から眺めながら高知空港へと向かい、3度目の区切りうちを終えた。今日は16861歩。

里の秋
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